3月中旬のとある日の夕方、筆者は、羽茂のイタリアンレストラン「ボアール」を訪ねてみた。ところが、さしものボアールさんも、慣れない佐渡での営業に息切れしたのか、昨年の12月14日から、夜は予約客だけの営業に縮小していた。その旨が記載された張り紙が掲示されており、本日は営業休止のようであった。それではと言う事で、筆者は赤泊の中華の名店「優遊」へ行く事にした。午後5時半頃にお店にお邪魔した。カウンター席にはつまみを食べながらビールをちびちび飲んでいるおばさんがいて、小上がりのテーブル席には、地元の女子高生3人組がいた。彼女らは就職や彼氏らの話で盛り上がり、エビチリと鶏のから揚げの小皿に加えて、メインに、海老チャーハン、担担麺、中華丼などを注文し、それらをぺろりと平らげていた。筆者はテーブル席に陣取り、今月の定食である「烏賊と野菜の辛子炒め」(950円)を注文した。10分ほどで出来上がった。辛子あんかけのお味は八幡の中華料理屋「洛陽」さんのそれに酷似していたが、優遊の方が醤油味がやや濃くて、島民好みの味に仕立ててあった。野菜の炒め具合がいまいちだったが、かえってしゃきっ感があり、これはこれで良かった。烏賊は、都会の中華料理屋ならば、厚切りの紋甲烏賊の白身が入っているところだが、このお店では小烏賊の剣先と足の部分をぶつ切りにしたものを入れていた。ま、その方が安上がりなのかもしれまい。ご飯の量は女性向けでほどよく、これに中華スープと漬物が付属していた。お味は大変によろしく、両津のスタミナ道場でえらい目にあったためか、夕食は殊の外美味しく感じられた。田舎の中華料理屋としてはよく出来ている方である。南佐渡では、小木の「や志満」と双璧を成すと言っていいくらいだ。
前回同様、ボタンダウンシャツ一枚姿のおやじさんと、その奥さんとがお店を切り盛りしていたが、メニューを絞り込み、中華料理だけに特化した営業形態に変化はなく、それが長く生きながらえる秘訣かと思われる「優遊」さんだった。