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Channel: 佐渡の翼
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とてつもなく遠い島   投稿者:佐渡の翼

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筆者がある目的を持って佐渡の集落を訪ね、道案内を請うために、集落内の民家にお邪魔し、「わざわざ東京から来ました」と告げると、お出になった人々は例外なく「まあ〜、遥々東京からねえ〜、ご苦労様」と感嘆するのが常である。ホテル浦島の東館に新規オープンしたフレンチレストラン「ラ・プラージュ」を訪ねた時も、「東京から来ました」と言ったら、スタッフから「それはそれは長い旅路でしたね」と言われた。首都圏の、千葉、埼玉、神奈川から東京都心の会社へ通勤する人々の平均通勤時間は1時間である。地価の高さから都内にマイホームを持てずにこれら三県に居住せざるを得ない人々ならば2時間の通勤時間などは許容範囲内だ。さすれば、東京・両津間の最短所要時間である3時間(東京からのノンストップ新幹線利用と11時10分発のジェットフォイルがあった時代にこの便を乗り継いだ場合の話だが)などは近い部類に入る。だが、一般の佐渡島民の感覚を持ってすれば、佐渡から新潟までは船で2時間半、そこから上越新幹線に乗り継いだとしても、東京まで2時間はかかる。乗り継ぎや待ち時間を考慮すれば、何だかんだで5〜6時間はかかると考えるのが普通であろう。彼らからすれば、東京はとてつもなく遠い存在なのだ。江戸時代、相川に赴任する佐渡奉行達の江戸・佐渡間の所要時間は1週間、いや、悪天候に伴う船待ちを考慮すればもっとだったのかもしれまい。その昔は、流されたら最後二度と生きては戻れぬ北の最果ての島と思われた佐渡!現代では遠くて近い島なのかもしれない。お盆で佐渡へ帰省された読者の方々に於かれては、「ふるさとは遠きにありて思うもの」であろう。


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