海外に出かけると、ハンバーガーなどのファーストフード店で食事をとる機会も多いと思う。米国のハンバーガーチェーン店で、何かを注文すると、まず最初に出てくる言葉は、Here or to go? である。最初、筆者は、orが聞き取れず、Here to go?と聞こえた。「行くためにここにいる」という意味か?「食べるためにここにいる」から、Here to eatの間違いではないかと思ったりした。意味がわからぬまま、Here! Here! と叫んだら、しばらくして、トレイに入った注文品が出てきた。あとで留学先の同僚に尋ねたら、to go というのは、お持ち帰り、すなわちtake outのことなのだという。それに対して、Hereというのは、そのお店で食べることを意味する。つまり、「お持ち帰りですか、それともここで食べますか」と尋ねていたのであった。こういう言い回しは、受験英語では習わないので、現地で覚えるしかない。
一般的に、学生時代、受験英語の成績が良かった人は、英会話の上達が遅い。英文法や英作文の小難しい受験英語の解答法指導には長けているくせに、英会話はからっきし駄目と言うかたわな英語教師は掃いて捨てるほどいる。というのも、受験英語にたけた人は、完璧な文法にこだわるため、文法を無視した、くだけた会話調の英語がスムーズに出てこないからである。我々が、日本語で会話するときも、正確な文法に則して話しているわけではなく、時には単語の羅列であり、時には滅茶苦茶な文法で話しているが、それなりに意味は通じている。英語でも同じなのである。文法を気にしていては、いつまでたっても上達しない。正確に話そうとする必要はなく、ブロークンで構わない。つまるところは度胸である。従って、男性よりも女性のほうが上達が早いのは、女性のほうが度胸があるからかもしれない。